秋の山は要注意!「低体温症」を防ぐ基本ルールとガイドの秘密兵器

みなさん、こんにちは!登山ガイドのVegです。

今年の秋の長雨はとにかく長かった・・・ 「もううんざり…」と思う日もありましたよね。

でも、私たち“好山病”の人間にとってはまだ本格的な寒さが訪れる前は「雨の山も、それはそれで楽しいじゃん!」と、 つい出かけたくなる季節でもあります。

ただし――。 気象データや遭難統計を見ると、 低体温症の事故が最も増えるのは秋。 特に、夏から秋へ移り変わるこの時期です。

今回は、秋の山で低体温症が起きやすい理由と、「知っておきたい予防と対処法」をまとめます。

昨年9月にガイドした槍ヶ岳。冷たい雨に降られ、70代男性が軽い低体温症になってしまった
目次

なぜ秋山で「低体温症」が多発・重症化するのか?

秋山には、低体温症を引き起こす3つのリスクが潜んでいます。

1. 秋雨前線 × 台風のリスク

低体温症の最大の原因は「体の濡れ」です。 台風が秋雨前線を刺激すると長時間の雨になります。激しい雨でなくとも、長時間降り続けば高機能なレインウェアでも濡れを防ぎきれません(汗の蒸れや袖口・襟元からの侵入のため)。

【ガイドの実体験メモ】 先日、台風25号接近中に南アルプスの甲斐駒ヶ岳へ行きました。雨風がそこまで強くない予報で、樹林帯のコースだったため決行したのですが……下山してみると、レインウェアを着ていたにもかかわらず全身ほぼずぶ濡れに! 幸い風を避けられる樹林帯で、全員のペースを上げて歩き続けられたため低体温症にならずに済みましたが、もし風が強かったり体力が削られていたらと思うとヒヤッとします。

台風接近の中、なんとか9名のお客さんを山頂へ案内

2. 寒冷前線による「急激な気温低下」

下界は暖かくても、山の上では一気に氷点下近くまで下がるのがこの時期。 特に寒冷前線が通過すると、わずか数時間で気温が10度以上も急落することがあるため厳重な注意が必要です。

3. 日照時間の短縮(つるべ落とし)

秋は日の入りがどんどん早くなります。 山の中は部屋の明かりを消すようにストンと暗くなり、同時に気温も急降下します。下山が遅れると一気にリスクが高まります。

秋の日没はとにかく急!

低体温症を防ぐ!秋山の基本ルール

ここからは、万が一の事故を防ぐための実践的なルールをご紹介します。

◆ ウエアのレイヤリング(重ね着)

基本のレイヤリングは以下の3層です。

  1. ドライ系インナー(汗冷え防止・最重要!)
  2. 保温着(フリースなど)
  3. レインウェア(防水・防風)

甲斐駒ヶ岳の登山では登りではなんとか持ちこたえたものの、小屋まで下山してきた時にはレインウェアの内側まで濡れてしまいました。それでも体が冷えずに済んだのは「ドライ系インナー」を着ていたおかげでした。

このインナーは非常に速乾性が高く、下山後に山小屋の中でそのまま着ていたら乾いてしまったほどです。

「アウターがやられても、インナーがしっかりしていれば日帰りなら乗り切れる」と改めて実感しました。

ミレーのドライ下着

やむを得ず停滞(停滞・ビバーク)する際の備え

雨の中で行動し続けられれば良いのですが、パーティーの体力低下や日没遅れで、その場に留まらざるを得ないケースもあります。

そんな時は、「ほ・か・ほ」の合言葉で対処しましょう!

【ほ】= 保温(ほおん)

停滞すると決まったら、まず最初に行うのが「保温」です。

  • おすすめアイテム:DKシェルター(山岳医療救助機構) 直感的に使えてコスパ抜群!パッと取り出してバサッと被るだけで、すぐに温かい空間ができます。1〜2人用なら重さはわずか約250g。お守りとして必ず持っておきたい逸品です。
山岳医療救助機構が出している簡易シェルターは使いやすいお守り

【か】= 加温(かおん)

冷えてしまった体を直接温める「加温」です。

  • おすすめアイテム:サーモボトルのお湯 + 柔らかい水筒 Vegは「HydraPak(ハイドラパック)ストウボトル 1L」を愛用しています。約60度までのお湯が入れられるため、持参したお湯を入れて即席の湯たんぽに!手ぬぐいを巻いて胸に抱くだけで、体全体がポカポカ温まります。
イザという時に湯たんぽにもなる折り畳み式の水筒

【ほ】= 補給(ほきゅう)

エネルギーを素早く補給する「補給」です。

  • おすすめアイテム:フリーズドライの「甘酒」や「おしるこ」 お湯はもちろん、なんと冷水でも溶けます。飲むとすぐに血糖値を上げてくれる即効性の高い熱源になります。内臓に負担をかけにくいのも過酷な状況下では嬉しいポイント。救急セットに1つ忍ばせておくと安心です。
井村屋の甘酒やお汁粉は必ず持っていきます

まとめ

これから爽やかな秋晴れの日々がやってくるのが楽しみですね! しっかりと「いざという時の備え」を整えた上で、移り行く季節の山を安全に楽しんでいきましょう!

ようやく秋晴れの八ヶ岳

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